子供にまつわるお金シリーズ④ 子育て共働き家庭 vs 片働き家庭の手取り比較
今回の記事では、子供にまつわるお金シリーズということで、本ブログのテーマでもある、「共働きで子育てをする家庭の手取り金額」についての記事を書いていきます。
共働きで子育てをする家庭の手取り金額
今回は「共働き夫婦(会社員)の手取り金額」がどの程度になるか、について「1人が働く片働き家庭」との比較で考えていきたいと思います。
今回比較する以下の架空の二つの家庭は以下の二つのいずれも「世帯年収1,500万円」で家族構成も全く一緒の家庭です。
今回出てくる家庭の前提
※以下の計算では手取りに大きな影響を与える、所得税、住民税について執筆時点の制度に基づいて計算していきます(ただし、児童手当の年収1,200万円以上廃止は決定しているため反映)。なお、社会保険料については税金と異なり、年金額にも影響することで単純に損得では判断できないため一旦無視して試算しています。
この後計算が続きますので、まずは結論から述べてしまいますが、圧倒的に「共働き家庭」の方が手取りが多いです。理由についてはこの後細かく述べていきます。
【共働き田中家の手取り】
まず田中家から見ていきます。
夫婦ともに同じ750万円の年収ですので、税金の計算の基礎となる所得を計算するために、給与所得控除、基礎控除を計算していきます。なお、共働きのため配偶者控除の適用はありません。
給与所得控除は以下の計算表に従います。
すると、控除額は750万円×10%+110万円=185万円となります。基礎控除は48万円です。
よって、田中家夫婦の所得はそれぞれ517万円(750万円-185万円-48万円)となります。
この所得に税率を掛けて計算していきますが、所得税の計算は以下の通りとなります。
これにに基づくと、田中家の夫婦の税金は以下のようになります。
所得税:517万円×20%-42.75万円=約61万円
住民税:522万円×10%=約52万円
税金合計113万円
児童手当についても計算していきます。
田中家であれば所得制限には引っ掛かりませんので、2歳の子供は1.5万円/月、4歳の子供は1万円/月で、年間30万円貰えます。
よって、田中家の手取り(社会保険料未考慮)は以下となります。
(年収750万円ー税金113万円)×2+児童手当30万円=1,304万円
【片働き加藤家の手取り】
次に加藤家について見ていきます。
まず、夫の給与所得控除ですが、上限金額の195万円となってしまうため、基礎控除と合わせて、所得は以下となります。なお、配偶者控除は年収1,000万円以上の場合は適用できません。
1,500万円ー195万円ー48万円=1,257万円
先ほど出てきた所得税の速算表により、加藤家の税金は以下となります。
所得税:1,257万円×33%-153.6万円=約261万円
住民税:1,262万円×10%=約126万円
税金合計387万円
児童手当は今後1,200万円以上の年収の場合0となるため、0と計算します。
よって、加藤家の手取り(社会保険料未考慮)は、以下となります。
年収1,500万円ー税金387万円=1,113万円
なんと、同じ1,500万円の世帯年収でも、200万円近く(社会保険料考慮後で130万円程度)も手取り金額に差額が出ました。
これは非常に大きな差額ですが、この要因は累進税率となっている所得税率、給与所得控除の上限、配偶者控除の所得制限、児童手当の所得制限、など複合的な要因によるものですが、いずれも共働き家庭の方が有利な制度です。
よって、勿論個々人の夫婦の状況はあるかと思われますが、同じ世帯年収を稼ぐのであれば、可能な限り夫婦で働いてバランス良く稼いだ方が良いという結論になります。これは税金だけではなく、実際に病気などで働けなくなる、などのケースを想定しても、共働きの場合はもう一方が支えることができるので、リスク分散の観点からも望ましいと思います。
なお上記の計算では色々と単純化して計算しており、実際には加藤家の方が所得が高いと更に保育園の保険料が増額される、などもあります。一方で、加藤家のような一馬力家庭の奥様が夫の扶養に入る事で社会保険料負担が減る、納税額が多い分ふるさと納税の上限額が多くなるなどの細かなメリットはありますが、本論ではないので計算から省いており、その点は単純化しているということでご了承頂ければと思います。
もし需要があり、機会があればまたそういった細かい計算もしてみたいと思います。